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2023.12.26

伝える、伝わる図面

計画中のさがみの家の実施設計が完了しました。

 

先日無事に各社へ図渡しを行い1ヶ月後の見積もり提出まで、

 

金額が納まるように祈って待ちたいと思います。

ところで一体この実施図面とはなんなのか?

 

疑問をお持ちの方のために、その辺りの説明を少し。

 

図面は主に基本図面、実施図面、施工図面に分かれていて、

 

フェイズによって様々に用途が変わります。

 

例えば基本図面はクライントとのコミュニュケーションツールとしての図面です。

 

主に設計者とクライアントとの間で交わされる、

 

手紙のような存在と言ってもいいかもしれません。

 

何度もやりとりを重ねてお互いの想いを伝えあう図面。

 

縮尺も1/100程度のことが多く、

 

情報も間取りや規模、高さ関係などの概要が示されています。

 

計画の概要を示した図面が基本図面。

 

 

 

施工図面は施工会社が施工するために描く図面で、

 

各部の納まりや合板の割付など、

 

工事中に設計者や各業者とやり取りするための図面です。

 

 

 

それに対し実施図面は設計者と施工者の間を繋ぐ図面です。

 

縮尺も1/5から1/50ぐらいまでの細かい詳細な情報が詰まっています。

 

施工者に対して素材や仕上げ、納まりや施工方法を記し、

 

実際に何をどうつくるのかを表した図面です。

 

積算はこの実施図面を基に行われます。

 

つまり、この実施図面は建物のコストを左右する大切な図面なのです。

 

この段階で建物の主要な仕様が決定されます。

 

仕様が決まっているハウスメーカーなどはこの実施図面がないこともあると聞きますが、

 

一から設計を行う設計事務所ではそうはいきません。

 

したがって情報量も基本図面より各段に多く、細かくなります。

 

 

 

ですが、人によってはこの実施図面の枚数を少なく、

 

情報量を減らして見積もりを安く上げようとすることもあるようです。

 

しかし、果たして本当に安くなるのかは疑問です。

 

例えるなら、情報のない不正確な地図で目的地まで行け!

 

と言っているようなものです。

 

そう言われたら誰でも途方に暮れてしまいます。

 

私が施工側なら、結局わからないところは損をしないように多めに金額を入れておく、

 

なんてことを考えるかもしれません。

 

なにより施工者を騙しているようでフェアではないですし、

 

現場に入ってからの齟齬やトラブルも多くなるように思います。

 

私たちはしっかりと伝わる情報量の多い、実施図面を描くように心がけています。

 

今回のさがみの家でも実施図面はA3で約85枚。

 

図面を渡す相手は素人ではなくプロ。

 

しっかり設計者もプロとして嘘なく誠実に、図面を通して施工者に想いを伝える責務があります。

 

その想いのカタチが実施図面なのです。

 

 

 

建築家の内藤廣さんの事務所では大規模な建築が多いこともあって、

 

施工会社の下請けや孫請けの職人さんが図面が見ても設計の意図か伝わる、

 

誰にみられても恥ずかしくない図面を描くことを心がけているそうです。

 

確かに内藤事務所の図面は情報が的確に整理され密度も高く、表現に美しささえ感じます。

 

 

 

私たちの図面もまだまだ道半ばですが、

 

少しづつですが伝わる、伝える図面を目指して、

 

日々試行錯誤を続けています。

 

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