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2024.01.25
PERFECT DAYS
先日、映画「PERFECT DAYS」を観ました。
主演は役所広司、監督はビィム・ヴェンダーズ。
役所広司演じる主人公の清掃作業員、平山の日常を淡々と描いた映画なのですが、
これが素晴らしくいい!
華美な出来事はまったく起こりませんが、
日常のルーティーンに潜む些細な変化や内面の機微を、
美しい映像とストーリの余白から丁寧に紡ぎ出していきます。
観客は知らぬ間に平山に共感し彼の日常に入り込み、
感情を共にするような演出、構成がなされています。
これがまた秀逸でシビれます。
さすがビィム・ヴェンダーズ。
日常は一瞬、一瞬の輝きの連続。
非日常を描くことなく、
日常がいかに変化に富み美しい世界なんだということを、
平山を通し証明しているかのようです。
日常賛歌とも言える映画のようにも思いますが、
何か平山が修行僧のようにも見え人生とは何か?という、
哲学的な探究を起こす映画のような気もします。
それにしても役所広司の演技が素晴らしい。
ほとんどの時間は無言の演技ですが、
でもなぜか魅惑的でエレガント!
ビィム・ヴェンダーズが役所広司の演技にゾッコンだったというのも肯けます。
この映画自体が渋谷区の公共プロジェクト「THE TOKYO TOILET 」事業の一環と言うこともあって、
建築家やクリエイターがデザインしたトイレが出てきますが、
設計者あるあるで、どうしても細かなディテールが気になってしまいます。
飲食店や物販店に入っても、商品より仕上げや納まりが気になるという職業病..
映画のストーリーに関係なく、著名な方がちょい役で出ていたり、
平山が毎朝飲む缶コーヒーがBOSSだったり、
わかる人にはわかる演出?にもクスッとさせられます。
心の深淵に優しく響く素敵な映画です。
オススメします。是非。
iso