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2022.03.31

不易流行

先日、打ち合わせの帰りに「とらや 赤坂店」に行きました。

 

以前から雑誌等で見て行ってみたいと思っていたのですが、少し寄り道をして行ってきました。

オフィルビルが多い通りですがファザードの木質感が通りにやらわかい印象。

 

建物は青山通りに対して半身を開いた扇型の形状をしています。

階段はこの建築の重要な要素になっています。

 

なんと言ってもこのダイナミックな空間が魅力です。

 

上ってみたくなる階段。

 

店舗が2階で茶房が3階なのですが、エントランスを潜ると自然と上階に足が向かいます。

 

個人的に内藤さんはスチールの使い方がうまい建築家だと思いっています。

 

木質のきめ細やかさがディテールが目につきますが、それら引き立たせているスチールのデザインも秀逸です。

 

スチールの見せ方で空間に緊張感や艶やかさ、秩序をつくっています。

 

なにかことさらに表現を押し出すわけでもなく、大胆なデザインで目を惹きつけるわけでもなく、

 

ほぼ木とスチールの寸法と素材の見せ方で空間を構成するという、

 

難度の高い設計をさらりとしている感じがたまりません。

 

この辺りの節度あるデザインの見極め方は流石です。

 

最先端の技術や素材、構造を駆使して見たこともない建築をつくる建築家を限度派(勝手に命名)。

 

内藤さんは人間の身体や心理、物事の事象を見据えて設計をする節度派(こちらも勝手に命名)。

 

内藤さんはその節度派の代表建築家だと勝手に思っています(笑)

内部は青山通りの喧騒が嘘のように、静寂で上質な空間が広がっています。

 

内藤さん曰く、「世俗の喧騒のど真ん中で、ふとすべての音が消え、絶対的な静寂が訪れる」

 

そんな空間のあり方が浮かんだそうです。

 

さらに、「喧騒を受け入れる開放性をもちながら、それを無音の位相に導く空間の深さと奥行きをつくりだそうとした」

 

と語っています。

 

空間を体験するをそれらが高い次元で実現されていることに驚かされます。

森の中や海辺で佇む静けさもいいですが、

 

街の中で喧騒を眺めながら非日常を味わうのも意外に心地いいものです。

 

空間が良いのは言うまでもありませんが。

2階店舗部分。

この内部空間の精度と密度を高めているのはこの手すり。

 

あらゆる部材を原寸で検討を重ねたそうです。

 

ちなみに手摺りの角は羊羹のアールを参考にいているのだとか。

地下階はギャラリーです。

 

こちらはヒノキの木質空間。

やはり最後はお茶とお菓子をいただき暫し休憩。

 

これも店舗空間を体験する上で重要な客さん目線。

 

そこで過ごす人の目線や気持ちになって空間を体験します。

 

 

 

そしてまだ終わりません。

 

ここで終わってはプロではありません。

 

事務所に戻ったら実際のスケールや素材はなんだったのか、内藤さんの図面集で確認します。

 

やはりこの繰り返しをしないと設計は上手くならないのです。

 

図面で想像し実際に行って体験してまた図面で復習。

 

日々この繰り返し、これにつきます!

詳細を見ていると設計者の考えがよくわかります。

 

何に重きをおいて設計しているかが伝わってくるのです。

 

羊羹の角ってR5だということも(笑)

 

詳細図を見るのが結構好きで、眺めているとあっというまに時間が過ぎてしまいます。

 

 

 

芭蕉は「不易をしらざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」との言葉を残しました。

 

内藤さんは、この仕事の依頼を受けた時にそう問われたと感じたそうです。

 

何を変えて何を変えないか。

 

何が大切で変えてはいけないものなのか、同時に何を変えなければいけないのか。

 

不易流行。

 

しっかりと物事を見据え本質を外さず進化していく。

 

そんな大切なことを思った「とらや赤坂」の内藤建築探訪でした。

 

この体験を反芻して自分たちの設計に活かしていきたいと思います。

 

あっ、空間もいいですがお茶とお菓子も絶品です。

 

休日の茶房は混み合うそうなので平日がオススメ。

 

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