works
さがみ野の家works
project data
所在地:神奈川県座間市
竣工:2025.04
用途:専用住宅
延床面積:141㎡
写真:西川公朗
施工:瀬沼木材株式会社
構造設計:井上建築設計室不動産コンサルタント:創造系不動産
工事種別:新築
構造種別:木造2階建て
神奈川県さがみ野の住宅地に建つ、5人家族のための専用住宅である。
敷地は旗竿形状で、15mほどのアプローチの先に広がる、周囲を建物に囲まれた奥まった敷地。
初めて敷地を訪れた際に、比較的開放感のある周辺の視線や喧騒から程よく距離を置き、住宅街のなかにありながら、内へとひらかれた穏やかな印象であると感じた。
求められたのは、家族5人が快適に、そして長く暮らし続けられる住まいと、それぞれの部屋と書斎の5部屋を確保することであった。
ます、5部屋のボリュームから過不足のない床面積を割り出し、眺望や抜けを期待できる周辺環境に呼応した各部屋の配置と、効率の良い動線計画を検討した結果、螺旋階段を家の中心に据えるプランが導き出された。
プランの構成は明確にし1階にLDKと水廻り、2階に個室の5部屋を配置。2階の個室のボリュームがそのまま1階のLDKの床面積であり、水廻りと玄関が下屋に納まっている。
螺旋階段は縦動線としての機能に加え、視線の見え隠れや空間のリズムを生み、家族の移動や気配の交差点となり、暮らしに静かな動きをもたらしてくれることを期待した。
2階には家族それぞれの個室を螺旋階段に取り付くように配置し、回遊性のあるプランとし動線がバッティングしないように配慮した。さらに上部には今後の家族の持ち物が増えることが予想されることから、設備スペースを兼ねた小屋裏収納を確保している。
建物は断熱性や気密性など基本性能を高めつつ、窓配置の工夫や軒を出すなど、通風や日射遮蔽を建築的に解決している。設備も第一種換気とドッキングした換気空調システムや太陽光パネルなどを積極的に採用した。
外観は、切妻を基本として、片流れの下屋が取り付く。杉板に落ち着いたニュートラルな塗装を施し控えめな佇まいとなるように注力した。周囲の景観に馴染みながらも、時間の経過とともにやわらかく深まっていくことを意図している。
南側には庭を設け、周囲の建物との隙間から光や風を取り込む。
室内から庭へ、庭から空へと視線が抜けることで、奥まった敷地にあることを忘れさせるような開放感が生まれた。植栽は常緑と落葉を組み合わせ、四季の変化や光の陰影で室内を彩っている。
ピットリビングで寛ぎ、キッチンアイランドでコーヒーを飲む。家族がそれぞれに違う時間を過ごしながらも、どこかでつながっている、にぎやかで、静かで、自由で、心地いい豊かな暮らし。
そんな普遍的な居心地を丁寧にかたちにした住まいである。